大怪獣バトル ULTRA MONSTERS
大怪獣形態学
氷川竜介の大怪獣形態学
幾度となく繰りかえしよみがえり、それぞれの時代のウルトラマンたちに限りなき挑戦を続ける有名怪獣・宇宙人たち!歴代の形態や特徴は、どのように違うのか? その意味とは? 怪獣キャリア30数年、特撮映像研究家の氷川竜介が、もてる知見を総動員して徹底的に分析と考察を加える。怪獣を通じた親子のコミュニケーションのネタにもできる、
世代を超えた特濃の情報をここに網羅。新しい怪獣の見方、楽しみ方が、ここに始まる!
文:氷川竜介(特撮映像研究家)
第1回 古代怪獣ゴモラ
【ゴモラ(初代)】
登場話数『ウルトラマン』第26話「怪獣殿下(前編)」、第27話「怪獣殿下(後編)」
旧約聖書に登場する滅亡の街と同じ名を持つ恐竜ゴモラザウルス。
その生き残りが怪獣化した生物である。
ジョンスン島から万国博覧会へ輸送中に高々度から落下して凶暴化した。
稀少動物となったバッファロー的な大きな三日月状の角をそなえ、半開きのまぶたからのぞく鋭い眼光は、地べたを這う人間に威圧感を放つ。オーバーハングした顔面に頭頂部左右と鼻の上の角を押したてる突進と、長大でしなやかな尻尾の連続打撃は、ウルトラマンを圧倒するほどの破壊力を備える。
地中の驚くべき移動速度は、肥大化した拳と肘や踵の突起で効率よく掘削することで実現。たっぷりとした肉質と厚みのある皮によって全身は柔軟性をそなえ、落下の衝撃を吸収し、着弾を反発力で防御する。
注目すべきは強靱な生命力で、切れた尻尾も独立して暴れまわる。
時を超えて生きながらえた原始の力が、科学文明に依存した現代人とその都市を滅びに追いこむアイロニーに学ぶべき点は多い。全身で「滅亡」を体現する生命体が、ゴモラなのである
【ゴモラU】
登場話数『ウルトラマン80』第22話「惑星が並ぶ日 なにかが起こる」
外見的類似性から、初代と同じく古代恐竜ゴモラザウルスの系譜にあると推定できる。だが、身体の細部や能力はあまりに異っている。ゴモラの特徴となる三日月状の頭部の角は上下を逆転させたもう一対の角を獲得しているし、カッと見開いた眼は切れ長の初代の目に対して球形で威嚇的。
また、リングを重ねたような体型をしているため、地中では全身を伸縮して移動速度を高めていると推定できる。環境変化に適応するため、異なる形態を獲得するために至ったのであろう。ゴモラザウルスの優れた進化速度がうかがい知れる。
初代からもっともかけ離れた点は、サイボーグ怪獣的な攻撃手段である。両拳のつけ根からミサイルのような光弾を連続発射、頭部の大きな角の先端からはビームを放出し、三日月型の光線を連続射出することもできる。
両腕からはリング状のキャッチ光線を投げてウルトラマン80を縛りあげるなど、かなりメカニズム的な特徴も多いため、何者かに改造手術を施されていた可能性も捨てきれない。
【ゴモラ(3代目)】
登場話数『ウルトラマンマックス』第21話「地底からの挑戦」
『マックス』のゴモラザウルスは資料写真には初代ゴモラが使われているが、当初は体長2メートル程度の珍獣として登場する。
その特産地のフリドニア国から日本国内の長野県和奈村に持ちこまれ、犯罪組織GSTEに雇用された科学者たちに生物兵器として遺伝子改造を施された。その結果、ある個体は身長58メートルと初代の約1.5倍という巨大な生体サンプルとして成長を遂げた。その開発者の破滅願望を受け継いだかのように、凶暴化してマックスと戦うゴモラ。
柔軟で肉質の体躯は、初代の特徴を非常によく受け継いでいる。しいて差異点を探せば首が若干長めな他は、全身のカラーがやや明るめになり、角や爪など角質化した突起部の透明度が増した点があげられる。これは個体の若さに起因するものであろう。
額の部分の彫りが深く、鼻の上部の角が鋭角的な形状をとっているのもまだ年月を経ていないためと見ることができる。マックスにも切断された尻尾はやはり独立して攻撃を行ったが、切断面もかなり鮮やかであった。
【ゴモラ(4代目+α)】
登場話数『ウルトラマンメビウス』第21話「虚空の呼び声」、第42話「旧友の来訪」
『メビウス』へのゴモラの登場は2回。第21話ではウルトラゾーンの怪獣墓場でゴモラの死体が確認されている。
外見的には3代目に酷似しているが、周辺にネロンガやシーボーズなどが密集していることから、初代ゴモラの可能性も強い。
第42話では科学特捜隊の残したドキュメントSSSPの記録どおり、初代の出身地ジョンスン島にゴモラが出現したが、すぐさま消滅。明らかにゴモラザウルスの末裔であったが、ウルトラマンメビウスと多々良島で戦ったゴモラは厳密には別の個体と判明した。
宇宙生物ガディバがレッドキングとゴモラを同化、生体情報を複製して再現したものなのだ。「ゴモラであってゴモラでない」と言われるほど特殊な怪獣となったが、身体的な特徴は生物兵器の3代目とほぼ同一である。突進攻撃や切断後の尾との連携攻撃など、戦闘方法ごとゴモラをコピーしてメビウスを苦しめた。
ゴモラザウルスとは、原始的な生命力や遺伝子情報を兵器に利用されやすい構造をもつ恐竜ではないかと、筆者は考えている。
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